home palette
chat
memo
memo

2024年3月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

実写ゴカム観ました!!!
 いろんなメディアミックスがあっても結局原作に帰ってきてしまうタイプのオタク、特に実写は普段ほとんど映画を観ないのもあって自分はほぼ客層から外れたものと思ってたんですが、推しの映画オリジナル戦闘シーンがとても良いという噂を聞いてしまい……ええ……結果的にどこもかしこも良すぎて一週間で3回くらい観てしまったんですけど……
やっと感想がまとまってきたので一気に書きます。気分で加筆修正するかも!

※観たいように観ているためいろんな点で偏っています
※映画になっていない原作部分にも言及します

《杉元》
キービジュの杉元ちょっと…顔が…可愛すぎないか…!?というほのかな心配があったんですが、そういう所に関係なくスクリーンで喋って動いてるのを見れば見るほど好きになってくるので俳優さんて凄いなと思いました。
川で砂金を採ってる冒頭シーン、漫画と比べて杉元のテンションがだいぶ抑制されてるな~という第一印象だったんですが、おかげで直前の二百三高地との間に動と静のコントラストを感じる。
「戦場で生き残ることにあれだけ執念を燃やしていた『不死身の杉元』が、言葉通り生き残った後に一体何を抱えているのか」という謎が自ずと浮かんで、映画のラストに繋がっていくんだなぁ。

《月島》
ツキシマ・クドウ・ハジメ最高すぎた……
月島は事前情報の時点で「見た目は敢えて漫画に寄せない」という方向性をはっきり感じたので、逆に顔や身長以外のどの辺で月島みを出してくるんだろうという興味がありました。その結果、
・鶴見中尉の側にいつも控えている寡黙で優秀そうな部下
・戦うと強い 感情が見えず容赦ない
この辺の要素が押さえられてるとちゃんと月島に見える!!という感動があった。
あと声! 実写月島も低くて硬質でとても好きな声だったよ。「駆け落ちしよう」の囁きもぜひ工藤阿須加でお願いします。
そしてめちゃくちゃ楽しみにしていた馬橇のシーン、杉元と同じくらいの体格の月島が殺(や)り合ってる……体格差の無さもシチュエーションも何もかもが新鮮 凄い 敵の幹部クラスに主人公とほぼ同レベルの戦闘要員がいるって視覚的に分かりやすい

狭い橇の上で右手にナイフ持って近接戦闘→揉み合い中に右手が封じられる→左手で顔面をタコ殴り

 の流れの間あまりにも表情が「「「無」」」すぎて これこれ月島はこの怖さよ……!!ってなりました。というかこの時の月島、鶴見中尉に「死ぬまでに刺青のありかを聞き出せ」って言われてるはずなんですがこの連続殴打&首締めの勢いだとうっかりキルしない?大丈夫?
それだけ重めにダメージ与えないと危険って判断したんだねきっと(うっかりキルは父親でやったので多分同じ轍は踏まない)(このシーン例の回想で既視感出してきそう……)
そしてここで容赦なくぶつかりあった月島と杉元も大泊の追跡/逃走ではお互い動きを止めてしまう一瞬があるんだろうか。カットしないでほしい~~さりげないけど好きなシーンなんだ……!

上の戦闘シーンはもちろんなんですが
・杉元を取り押さえつつ、喚く二階堂兄弟に視線を向ける時の顔(無表情な中にほんの少し苦々しさの混ざる流し目がたまらなく好き)
・馬橇に鞭打つ瞬間の「ハッ!」(あっすごい良い声だこの人…ってなるシーン)
・部下の中でただ一人鶴見中尉と並んで銃器を検分する時の側近感(ここと廊下のシーンで鶴見中尉との顔の位置関係に新鮮味を覚える)
この辺を何度でも観たくて回を重ねてるとこがある。今後のあらゆるシーンが楽しみなんですが、さしあたり秋のドラマでは夕張と旭川が確実に観れそうなので、実写でも月島軍曹の内面描写や人間関係が広がっていく(マイルドな表現)のを心待ちにしてます。

《二階堂》
まだ身体のどこも欠けておらず薬もやってない頃の二階堂浩平がどんな風に戦うのか沢山観れて熱かったです。文章にすると切ないな。
師団の中ではテンション高めキャラの双子だったけど、手投げ弾の連係プレーとか、杉元の部屋に改めて忍び込む時の静かな声遣いとか、何より馬橇の上での執念深すぎるアクションとか、そういう所で本気になったときの強さ怖さを感じました。

《白石》
白石~~~!ノリで銃弾にチュッはずるいよ!!!?
鉄格子が変形しない代わりに本人の頭がちょっと変形してる……あのヌッタァのスライディング、何か既視感あるなと思ったらイルカショーでプールサイドを腹ばいになって滑るイルカだこれ。

《細かい感想いろいろ》
・初見の日、アシリパさんとレタラが別れるシーンで号泣してしまった
・杉元の過去描写今回だけでだいぶ詳しかったけど、おかげで杉元もアシリパもそれぞれに孤独だったところから今の相棒関係になったのを噛みしめることができて関係性オタクに刺さりました
・あと杉元がコタンを出て行くまでの決心から、目を覚ましたアシリパさんが誰もいない部屋をじっと見つめるまでのシーン、映像がすごく良かったなあ……情報量が多いから台詞がいらなくて漫画ゴカムの演出と相性がいいね……
・そういえば谷垣も初期の頃ならではの怖さがあったなと思い出しました。止め足を見抜いて「賢いな」と呟きつつ迷わず木の上を見上げる元マタギの谷垣……
・登場シーンの少なさに対してビジュアル再現度が高すぎてびびった人:アチャ、後藤、笠原、終盤にちょっとだけ出たカノちゃん
・映画観終わった後にだいたい食べたくなってる物:あったかい蕎麦、つくね入りスープ、すき焼き

 * * *

そしてついに鯉登少尉殿来ちゃうな~~!!!もうこの世界のどこかに鯉登役の俳優がいるんだな>ドラマ予告
予告でちょっと映ったあの走り、多分偽犬童の所へ駆けつけるシーンだろうけど飛行船や稲妻強盗でも見せてくれるやつですよね?
月島がそうだったように鯉登の顔、というか眉もいっそギリギリまでリアルに寄せてほしい。そして鯉登は確かに公式美形青年だけど、彼の美しさは細さとか女性らしさとはまた別物だと思うので「スチェンカで勝てる男」の説得力を何卒……あとはゆくゆくあの180cmでかつよ月島の消耗しきった心にまっすぐ触れることができるだけの内面的エネルギーもお願いします……映画良すぎたせいで願望が止まらないよぉ

なんでも

灯台守の夫婦が娘の話をするのをじっと聞いてるツキシマ、大切な人の生死が分からない苦しみに共鳴してるのもあるだろうけど、もしあの子との駆け落ちをやり遂げていたら今目の前で泣いているような境遇の人間を自分が作り出していた可能性がある、という所まで考えていそうで二重につらいな

なんでも

新任将校にいつまでも教育係が必要なわけもなく、金塊争奪戦の事後処理まですべて片付いたらいよいよ共に行動すべき理由が無くなってしまうことに月は気づいてるし鯉も気づいてる そんな月鯉
この状態でギリギリまで両片思いを続けてほしい つらすぎる(好き)

なんでも

2024年2月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

これも先の先どころじゃない話なんですが、私が描きたい最終回直後の月と鯉はどちらも自身のことを「個人への強い執着に目が眩んで道を踏み外した人間」と思い込んでいるので、ここからお互いへの欲望を含んだ愛情を自分の中に認めるのがちょっとその 大変というか 
つまり月鯉というカプの成就は、互いに次こそ軍人として模範的理想的な関係を築こうという道からの逸脱と表裏一体なんですね 何を言ってるんだ

そして二人を成就させる時には、それでもやっぱり二人はくっつくことで新しい幸せを得られると思うよ、という解を用意したいです 描けるかな(量的に)

なんでも

月鯉好きだ 一人の上官のもとに集った部下同士のはずなのにそこで手を取り合ってしまう二人が好きだ
初見の頃この二人はいわゆるハウンド萌えかなと思っていたがどう見てもお互いのことが好きすぎてカプにしてしまった

なんでも

非戦闘員キャラが持ち前のスキルで戦況を逆転させる展開が好きなんだ レザビにウイルス仕込んでデータを抜き出したPラチェ先生 誂の装で全員の極制服を復g…パワーアップさせた伊織くん 突然格子の隙間から入ってきて杉元を脱出させてくれた白石

なんでも

鯉くんのド受けポイントは彼が最終回を経て「傷を負った若き指揮官」になったことで完成すると思ってるとこある

No.2×No.1の関係性がド性癖レベルで好きという話なんだけど、いわゆる従×主の亜型というか、周囲の構成員からみると「目上同士の特別な絆」になるとこまで含めてたまらないというか つまりモブ兵卒視点の月鯉を浴びるほど描いたり読んだりしたいんですね 私だけじゃないはずだ

なんでも

「たとえば、ある種の芸能人のように落ち込む暇もなく軽躁状態を維持しないといけない職業の場合には、セラピーの進行は有害になる場合がある。」

—『ふつうの相談』東畑開人著

芸能人をそんな風に表現してる文章初めて見たヨ…

なんでも

「まさに戦争中毒」のくだり久々に読み返したわあ…… 210話を思うと、この時点で月の評価が「戦争中毒」以上にも以下にも描写されてないの不穏に感じちゃう けど94話の時点ですでに210話の構想ができていたのかどうかは全くわからない

そこまで考えが及ぶのにだからといって中尉殿から離反するわけじゃないツキシマ~~~!
でも原作後半と比べてこの時のツキシマの方がまだ複雑ななりに精神の均衡を保ってたように見える やっぱりコイトに相当揺さぶられまくったんだな(そしてハピエンへ)

なんでも

自分の心は自分が思っているよりもずっと複雑だということを、私はツキシマに気づいてほしかったんだなあ…とプロット書きながらしみじみ思ってる
そうやってツキシマが自分の複雑さに気づいて立ち止まった後で、314話のコイトに抱いた印象があの(まっすぐなひとだな)であってほしい

なんでも

そういえば、こいとくんの実写キャストを決めるにあたり顔面の完成度や自顕流のハードルもあるけど何気に難易度高いのが曲馬団だと思う
えっまさか樺太編あっても曲馬団やらないとか……ないよな……?スチェンカで月に曲馬団で鯉に観客をグッと惹き込ませるでしょ??? えっ やるかな 心配になってきた
エキセントリックイケメン奇公子な鯉を見せてくれ 終盤のためにもお願い

なんでも

2024年1月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

『恩寵』p10-19

原作軸(313~314話)/月鯉未満の月と鯉
鶴見中尉のいない世界に突如放り出された二人の部下達が、新しい関係を結びなおすまでの話。
※既刊『発火前夜』『星のない海』と同軸設定ですが、主要なエピソードの繋がりはありません
 
grace_012.png

grace_013.png

grace_014.png

grace_015.png

grace_016.png

grace_017.png

grace_018.png

grace_019.png

grace_020.png

grace_021.png
畳む

描いたもの

特に何のトラブルがあったわけでもないしXの相互さん達は今でも好きなんだ
だけどXでいろんな情報に晒されながら精神衛生を維持するの私には労力かかりすぎて、興味を持った個々のポストの精査は追いつかないし、攻撃的な言葉を避けるのがまず大変だし、いずれもう無理となる予感は何となくしていた

なんでも

最終話の月島が「はい」で溢した柔らかい笑顔、あれが本編の最高成長点に辿り着いた大ゴマの鯉登ではなく「はやく来い!!(ダンダンッ)」ってしてる""いつもの鯉登""に向けられてるところがとても好きなんだ これは何回でも言う

今までだったら(面倒くさい)の顔してたような場面であの笑顔なのがたまらなく好き 可愛いいとしいものに向ける顔じゃん……月島が好いてるのは強く凛々しく格好いい指揮官の鯉登だけじゃないんだよ……

自分の月鯉のサビであり(絶対この二人をくっつけなきゃ(使命感))となるポイントである

なんでも

ゴカム全話無料公開を家族のグループLINEで布教したら、何日か経って父から
「金塊(の在処)って五稜郭だったんだな…」というメッセージとともに過去の旅行で撮ったらしい五稜郭の写真が送られてきました。
読んでくれてありがとう父。

この2ヶ月くらいで読んだ本達の中から選んで一言ずつ感想書くよ!

『陰陽師 烏天狗ノ巻』夢枕獏/2023.10/文藝春秋
「おまえ、おれのことが好きであろう」の博雅は梅の花見しながら頭の中ではずっと晴明のこと考えてたんだよってことでいいんですか??
こういう言葉を何のからかいも、言葉以上の含みもないまま真っ直ぐ晴明に差し出せる博雅が私はめちゃくちゃ好きだけど、晴明がマジの動揺してしまってるのはもう無理もないんだよ博雅。

『変な家2 ~11の間取り図~』雨穴/2023.12/飛鳥新社
パズル感覚で読めて楽しかった、けどそういえば雨穴さんのホラー作品って子供が生々しく凄惨な目に遭う時がままあるなと思い出しました。いや怪異系なら全然いいんですけどあの話のアレはな……
あっ謎おせち動画2024本当にありがとうございます おせち選び失敗しすぎていざという時の行動が早まっちゃう雨穴さんかわいい(本の感想じゃない)

『思考を耕すノートのつくり方』倉下忠憲/2023.11/イースト・プレス
メモや日記やネタ帳に使っているツールが散らかりだしたので、何とか使い方を考え直せないかな……と思って買った本。ツールを減らすというよりそれぞれの役目をはっきりさせるためのヒントがありそうでした。

なんでも

これは妄想というかもはや思考実験の域なんだけど、インカラマッ(と谷垣)を守るために家永を駆り立てた最後のひと押しがあの時つまみ食いした杉元の脳だったらどうしよう……そうでなくても勿論すごく好きなシーンなんですけど

なんでも

2023年に買ってよかったもの、下半期特に12月に集中しまくってるな
iPad Pro第6世代とsirocaカフェばこPRO… カフェばこの方は厳密にはレンタルなんだけど、もうこれ無しでは朝の原稿ができないので即購入でいいレベル

なんでも

あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。
 ゴカム実写化に合わせて今月末まで本編全話無料なってますね! 自分もちょうど連載最終回を迎えるタイミングではまった遅めの民なので、いろんな機会にいろんな人がはまるチャンスがあると嬉しい。

 以下ゴールデンカムイ未読の頃に何となく頭に入っていた情報
・舞台は北海道、主人公の名前は杉元とアシリパさん
・土方歳三が生きてる設定でめちゃくちゃ格好いい爺さんとして登場する
・さりげない所に名画モチーフの構図が使われてるらしい(当時Twitterで見たのは多分稲妻強盗の赤ん坊のシーン)
・ラッコ……鍋……?
・おもに絵柄と↑の影響でゆるいシュールギャグ系の作品かと思ってたら時々ものすごい熱量の長文感想が目に留まる
・もしかしてこれ結構ガチで人が戦って死ぬタイプの話か?
・尾形 鶴見中尉 鯉登少尉 ←主人公(と土方)以外に名前だけ知ってた登場人物
・無骨な男達の距離感おかしい二次創作がいっぱい流れてくる………

外野にいると入ってくる情報の系統がバラバラ過ぎて謎の漫画、というイメージが強かったんですが、多分大筋はアクションバトル漫画なんだろうな、ハガレンとか好きだしこれも読んだらハマるかも……という予感だけはしてました。
何度か全話無料のタイミングがあった中おととしのGWに読み始めたのはほんとに偶然で、敵味方入り乱れすぎて初読じゃ細かい流れまで分からん!でも不死身の杉元めちゃくちゃ好き~~!と思いながら一日100話弱のペースで読んでその後も色々反芻してるうちに
・鶴見中尉の側近っぽいけどどう見ても中尉について行ききれてなくて不憫だった人
とか
・最終回まで読んで初めて あれ?こんな格好よかったか?いつの間に?? ってなった人
が気になりだして今に至ります。
本編読み始めるまで全く知らなかったキャラもいて、知らなかった設定もあって(そもそも「刺青のある脱獄囚を探して暗号を解け!」というストーリーであることを知らなかった)、ハマるの遅かった…!となった後も展示に30,31巻加筆に作者インタビューもあって楽しかったな。
あと無骨な男達の距離感おかしい二次創作は無事大好物になりました。ありがとうございます。文字通り受け身がとれるだけのフィジカルを備えた受けはストライクゾーンなんよ……

は~~~やっぱり今日のインテの空気も吸いたかったな

なんでも

2023年12月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

大晦日だけど次に更新する分の月鯉漫画が進捗50%越えたぞ~!やったやった!
今年は漫画本2冊出せて嬉しかったです。来年は今描いてる『恩寵』を完結させつつ、そこから『星のない海』に繋がる話に少しでも取りかかれたらいいなと思います。月島にも鯉登にも絶対己の恋心を自覚して向き合ってもらうんだ……

今年もありがとうございました。よいお年を!

なんでも

士官学校出の新米少尉が鯉登大尉に一目惚れして
どうにかお近づきのきっかけを作りたいのになかなか踏み出せず
そんな中、来たる大尉殿のお誕生日に贈り物をすることをふと思い立ち

鯉登大尉の持ち物は派手な物は一目で、地味な物もよくよく見れば高価と分かるものばかりだが
いつも胸ポケットに収まっている手鏡だけが古びた安物であることに気づいたので
大尉殿の手に収まっている様を頭に描きながら百貨店に足を運んで繊細な漆塗りの手鏡を選び
当日、二人きりになれる頃合いを見計らって執務室に赴き緊張に震えながら
「たた大尉殿のお誕生日に●×◇▽…」と包みを差し出して
大尉殿はしばらく手鏡をじっと見つめ
「有り難う。だが……残念ながら手鏡は受け取れん」
手鏡は、と強調されたことで怪訝な顔をしていると、大尉殿がおもむろに胸ポケットから木枠の小さな手鏡を取り出して

「これは、私がお前と同じくらいの歳だった頃に教育係の軍曹から貰った物だ。青二才の私を陰日向で支えてくれた頼もしい男だったが、手鏡など持ち歩くような柄ではなくてな」
「遠く離れた敵の様子は鏡に類する物で視認を試みろと聞いたことがあるだろう。あるときの戦闘で私にも鏡が必要になった。横にいたその軍曹に手鏡を貸せと言ったら、狐につままれたような顔をする……ふふ、あの時の顔は今でも思い出してしまうな」
「代わりに私のを使ったら、遠くの敵から見事に銃で撃ち抜かれた。奴がこの手鏡を寄越してきたのはその次の日のことだ。『昨日は申し訳ありません』『私もこれと同じ物を買いました。今後はいつでもお貸しできるよう身に付けておきます』と言って」

律儀な補佐官だろう、と大尉が笑いながら
「そういうわけで、これは確かに古いが少々思い出深い品だ。他の物に替えるつもりがない。折角用意してくれたのにすまないな」
と話し終えるまでの間に少尉の頭の中は今にもはちきれそうになっていて
(鯉登大尉殿ともあろうお方が手鏡くらい好きに買い替えられないはずがない、そうしないのは並々ならぬ事情があるからなのだと何故今日まで思い至らなかったのか)
「も、申し訳ございません大尉殿ッ私としたことが出過ぎた真似をし△×◎◆☆!!!!」
と直角のお辞儀を繰り返すばかりになるのを鯉登大尉に「落ち着け落ち着け」となだめられ
「しかしずいぶんと上等な手鏡だな。何なら、私からの餞別とでも思ってお前が使うといい。よく似合いそうだ」
それからこれはついでだが、部下のことはこの先も大切にしろ。特に、まだ年若いお前のため損得抜きに骨を折ってくれる人間が一人でもいたら、何があっても手放してはいけない。今のうちから見極めておけ。

よく似合いそうだ、の一言がとどめになってふらふらのまま包みを手に執務室を去りつつ
鯉登大尉の言葉を表情を無限に反芻しながら、彼が心なしか普段よりもおだやかで寛いだ笑みを見せてくれていたことが気になりだす
そしてそれでも贈り物はついに彼の手に渡らなかったことや、言葉の端々に覗いていた強固な意志も
『他の物に替えるつもりがない』
『何があっても手放してはいけない』
あの口ぶりは懐かしい部下の話というより、まるで鯉登大尉殿にとっての、誰よりも大切な――


* * *


みたいな日がいつかの未来にあってほしい。お誕生日おめでとうございました!(昨日上げたかったのに間に合わなかった……)
手鏡のシーン大好きすぎて手を替え品を替え擦り続けてしまう。

なんでも

DRF2023一般参加楽しかった〜〜〜〜!ありがとうございました!!
以下帰りの道中でぽちぽち打てる分だけの箇条書き日記!

・荷物厳選したつもりが出発時点で若干リュックが重く不安になる
・ホールまでの道のりとホールそのものが曲がりなりにも分離されていた東会場のありがたみを今更知る
・結局西を通らずに南へ行けるルートってあったんでしょうか……地図準備しといたらよかった……
・予定より到着遅くなったしまずはお買い物急いで回らな!ファンレターは後から書いてお渡ししよ!←フラグ
・「新刊ください!既刊はどれも持ってるので!(ドヤッ」
・想定外の差し入れを頂いてしまう ありがとうございます
・出張編集部ではちゃめちゃに並んでしまい手紙書く時間がなくなる
・そして並んだ時間分を取り戻したさに自分も喋り過ぎてしまう(懺悔)
・話の最中に入江亜季先生がポンと出てきてテンション上がる 北北西〜しか知らないけど読んでます好きです
・Q. ゆくゆくはエロいのも描きたいんですけど今の絵柄とか作風だと合わない気がして……
・A. 確かにエロさはあんまりないですね
・からの色っぽい絵につながるコツを多方面に教えて頂く ありがとうございます②
・渋谷のアフターに向かいはじめてのりんかい線
・を、同行の友人にまるごと案内してもらってしまう ありがとうございます③
・SUMADORI-BAR SHIBUYA、大体のカクテルをアルコール0%から作ってもらえてフードも美味しい最高のお店でした
・リュックが!!!重!!!!

こんな感じでとてもとても楽しかったです。
心残りは先のJBFでゲットした本の感想を手紙でお伝えするつもりが宙ぶらりんになってしまったことと、南会場に一杯一杯で西会場を回れなかったことですが……突然半年前の既刊の感想が届いても何卒大目に見てください……

なんでも

原稿用の机に全自動コーヒーメーカーを導入し、毎朝起床時間に合わせて自動でコーヒーができるように予約をセットしたら、毎朝同じ時間に机に直行する習慣が作られつつあって良い感じです。
ズボラじゃない。効率化だ。
あとは何らかのミスで液タブ置いてる机にコーヒーぶちまけたりとかやりかねないので気をつけていきたい。

原作軸の月鯉を描くの三本目ですが、自分の解釈って絶対どこかの方向に偏ってるだろうな……同じ原作読んで同じカプを好きになった人にどう受け取られてるんだろ……と心細くなった時は雨穴さんのAIミステリーに出てきた栗原さんの
「人の知識はどうしても偏るけれど、その『偏り』こそが(あまねく情報を吸収するAIには無い)個性」(要約)
という言葉を思い出しています。
知識に限らず価値観にも同じことが言えるはずなので、他人との価値観の違いで摩擦を起こしそうになった時に心の中でそっと唱えたい言葉でもある。

なんでも

『恩寵』p01-09

原作軸(313~314話)/月鯉未満の月と鯉
鶴見中尉のいない世界に突如放り出された二人の部下達が、新しい関係を結びなおすまでの話。

※既刊『発火前夜』『星のない海』と同軸設定ですが、主要なエピソードの繋がりはありません

grace_003.png


grace_004.png

grace_005.png

grace_006.png

grace_007.png

grace_008.png

grace_009.png

grace_010.png

grace_011.png

畳む

描いたもの

2023年11月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

原稿作業が楽しいので普通に作業の話をしてしまう。
今までで一番仕上げに時間をかけています。いつも〆切に追われて時短してるだけで本当はこれくらい丁寧にやりたかった!!と思いながら塗ったり削ったりしています。とはいえ一定の時間制限は設けているので妥協した部分もあるし、時間かけたところでどうにもならない技術が浮き彫りになって凹んだりもしています。
ひえ~~濃淡の正解に最短でたどり着きたいよ~~

なんでも

・ジャンフェス2024のアニカムグッズ新規絵
月島と鯉登のアクスタが隣り合わせに飾る前提のポーズなんよな!!! 鯉登くんそのスーシュカどうするの?月島も食べろッ♡てするの?
キャラ名のロゴも線の具合が月鯉好対照で好き。そして谷垣のロゴがとっても可愛いのも好き。
 ※花札の方は月島軍曹の内腿をまだ直視できていないためまともな感想が打てません

 ・ほかおに会報2
届いたぞやったー!雨穴レストラン待ってました!!
編集部と絡む時の雨穴さん、見た目通りの怪異を起こすか(例:ドラレコ選手権)普通にいい人で肩すかしを食らわすか(例:菓子盆選手権)でざっくり分かれるよな~と思っていたんですが今回ゴリゴリに前者でしたね。
いやあれ怪異……怪異か? ドラレコの時みたいに異空間に飛ばすとかじゃなかったから微妙に違うかもしれない……
オモコロ編集部でサイコホラーすな(ありがとうございます)

なんでも

12月のDOZEN ROSE FES.と1月のCOMIC CITY大阪ですが、どちらもサークル参加は見送ることにしています。
代わりに、細々描いている313~314話の月鯉漫画は出来た分からWebに上げていく予定です! また、持って行こうと思っていた既刊はイベントに合わせてとらのあなに追納します。
あとイベント自体は一般でこっそり行けたらいいな……1月は無理かもだけどせめて12月は……

何もかもひとえに自分の身辺上の都合なんですが、しばらくはweb公開や通販がメインになる可能性大です。
〆切のない原稿生活これはこれで前途多難!漫画上げた際には何かしら反応や感想頂けると大変励みになります!よろしくお願いします(直球)

おしらせ

今年の夏頃からじわじわはまっている雨穴さん、YouTubeのチャンネル登録100万人いったのにコメントないな…マイペース…と思ってたら突然ananで特集組まれることになっていたので、11月15日号のanan買ってきました。
裏表紙と中の写真見た感想「顔小さ~~足長~~!!体型好き!!」
※雨穴さん好きになった要因に身長180cm越えな所も絶対含まれてると思う

インタビュー、作り手としての雨穴さんの姿勢が色々新しく垣間見れて嬉しかったです。
『素で言うと引かれちゃうような過激なことも、歌詞なら中和されて受け入れてくれる自由さがある』
INTERNET WRITING MAN!!のことか??
あの曲最初に聞いたとき、雨穴さん特定の同業者に妬いてることここで言っちゃうんだ……ってちょっと新鮮に思ったもんな。いや歌われてるのは嫉妬とそれ以上の愛なんですけど……
この歌も声がほんとかわいくて、特に"YOU’RE PICKIN’ UP BUZZ VIBRATIONS"の抑揚が好きです。歌詞の元ネタは知らないのばかりでしたが、納豆一万回混ぜちまう記事と部屋を森にする記事と鳩をヒールにする記事は全部読みに行きました。
あと、業界に浸ってる人のお仕事トークとして聴くのも楽しいです。「こんな仕事やってられるか!!」と「もうちょい気張ろうかな…」の間を日々往復する労働者(私)的には、出勤中に聴くとやや後者の方に気分を持って行けるのが好き。

雨穴さんを最初に知ったきっかけは去年の秋頃にRTで流れてきたオモコロのホラー記事だったんですが、作品と同時に作者/表現者まで好きになる体験が久しぶりでワクワクしてます。
今は12月の新作小説が楽しみなのと、ほかおに会報の到着をひたすら待ってるのと、あとおせち…おせち動画…来年もやる?やってほしい。

なんでも

2023年6月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

本にあまりあとがきをつけないのですが、話したいことは色々あるし聞きたい人には聞いてほしい!
と思って今回は試しに誰でも読める場所にあとがきを書いてみました。
読み終わった方向けです。よろしくお願いします。


・知っていても立ち入らないこと、思っていても言わないこと
月島は全部分かってます。鯉登が船酔いする理由も、フラッシュバックの予感に耐えながら部下達の前で気丈に振る舞っていることも、上官としてのプライドや責任感が鯉登をそうさせていることも。
そんな彼の前に「心配」という個人的な感情はあまりにも無力なので、月島も言葉にはしません。でも多分漏れてはいる。その漏れた分を鯉登はこっそり汲んで、こっそり嬉しく思ってるかもしれない。
本当は鯉登の中にもいろいろな感情があったのですが、今回は月島サイドの話と決めていたので描いていない部分が多いです。

・最終回後の両片思い
好きなんですよこれが……全力を懸けていた共通のミッションが終結したところでふと互いの存在の大きさに気づいてしまうシチュが……戦う推しカプへのはまり方大体こう……
もうお互いがそれぞれに恋心を自覚する話を描くしかない。

・既刊と同軸
長編を一息に描こうとすると挫折しそうで怖いので、設定上同一人物ということにして物語を小分けにしながら本を作ってしまっています。
一冊ちらっと読んでみたい人にもできるだけ優しい内容にしたいですが、今後も同軸で描いていきたいのでだんだん無理が出てくるかもしれません。どうしよう。

・次の本について
313話〜314話のあいだの二人を描きたいです。まだ恋愛感情を自覚する段階ではないけれど、いよいよ他では替えがきかないほど互いの存在が大きくなってきた頃の月+鯉です。
テーマは相互救済。そして明確なハピエン。
12月に出したいなと思いつつ、原稿ギリギリ族なので予定は未定です!

・余談
今回の原稿をしている間に某舞浜の海へ遊びに行って、初めてシンド◯ッド・ストーリーブック・◯ォヤッジに乗り、そこで流れてた歌があまりにも良……!となったのでDLして作業BGMにヘビロテしてました。
でもだんだん原稿の内容と歌詞がぶつかり合ってる気がしてきてちょっと切なくなった。
そんなわけでテーマソング…とは何となく違いますが勝手に裏テーマソングということにしています。爽やかで心地よくて大好きな歌です。いつでも心のコンパスを信じるんだ……畳む

なんでも

2023年2月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

月島の「どうやってこれから生きれば良いのか」って後ろ向きな言葉にも聞こえるけど、一方で、死ぬか生きるかで言ったらまだ辛うじて生きる方に目を向けているからこそ出てくる言葉だとも思う。
鯉登はその問いに対して「鶴見中尉殿がいなくても前へ進まねば」「私のちからになって助けてくれ」って答えてるわけだけど、これは月島の生きる意志を0から1に…というより1から100にした言葉だと思うんですよね
暴走列車での戦闘中から列車を降りた直後にかけて月島の生きる意志は一度0になり、その後何らかの流れで0から1になって、最終話で100になった……という中でゆくゆく自分が本にしてみたいのはこの「何らかの流れ」の部分です。月島自身の強さの話。0から1を作り、救いを救いとして受け入れ、差し伸べられた手をとることができる人間の生命力みたいなもの。

そして鯉登の口から「鶴見中尉殿がいなくても前へ進まねば」という言葉が出てくるまでの話も一緒に描きたい。あの時の鯉登には、部下を守るために月島が一緒に働いてくれたら助かるという言葉のままの道理もあったと思うけど、一人では進めないのなら二人で共に進もうと月島へ働きかける情が、月島の1を汲み取ってそれを100にする力が、きっと絶対あったはずなんですよね~~~!!

ここまではブロマンスでもいける流れですが、私はどうしても月島から鯉登へ愛の告白をさせたいのでこの二人は将来的に月鯉になるつもりで妄想しています。

なんでも

  • ハッシュタグは見つかりませんでした。(または、まだ集計されていません。)